「美月、また見てるでしょ?」 「……なにが?」 三時間目の英語の授業が始まる前の休み時間。 目の前の席に座る親友の梨央にまたしても言われてしまった。 「もう、美月。惚けないでよ。あんたが見てるのはただ一人だけじゃない」 そう言ってニヤニヤと笑う梨央。 梨央ってば私の気持ちを知っててわざとらしく言うんだよね。 「はい、見てました」 「あら、今日はやけに素直じゃない。今日の美月は何回彼を見つめていたのでしょうか?10秒以内に答えなさい」 不意打ちの質問に私は慌てて考える。