友達以上恋人未満

「ねぇー。アリアちゃん。そろそろMAIN教えてくんない?一応カノカレなんだしさ?」

「遠慮します。私はあなたを認めたわけではありません。」

普通の高校生でいたのは、昨日の昨日の話みたい、おとといまでは普通でなんの変哲もなかったというのに。

あぁ。周りの自然が痛い。突き刺さる。


────これじゃあ、まるであの時に戻ったみたいじゃない。


「アリアちゃん...?ねぇ聞いてる?」

大きな瞳にのぞき込まれ、はッと息を呑んだ。

「いえ。何でもないです。」

「なに?なんかあった?俺でよければいつでも相談には乗るぜ?」

「結構ですから。ほんとに。」

逆に迷惑だ。昨日まで「あれ?あんなこいた?」といわれるのNo.1だった私が目立っちゃっている。とにかく目立っている。

「朝比奈さん。...ちょっと。」

あー、ほら。目をつけられちゃったみたい。なるべく問題を起こさずに目立たないようにしたかったのに。

「俺も行こっか?」

うん、お願い。なんて言えないよ...。

「全然...大丈夫です…。」

ああ、もう。声が震える。

「ちょと。何ボサッとしてんの?」

やばい。これじゃあもっと怒りをかっちゃう。早く行かなきゃ。


────体育館裏

体育館裏とか古いなぁー。なんて思いながら、彼女達についてきたけど。

「朝比奈 アリア!あんた一ノ瀬君に付きまとわないでくれる?」

誤解されているみたいだけど、私がつきまとっている訳じゃあない。

言い返してやろうかと思ったが、名札の色と上靴の色を見る限り3年生のようで、そんなことを言う気も失せてしまった。

「つーか。前々からムカついてたんだよね。1年生なのに金髪とか。」

これは、れっきとした地毛だ。母がロシアの人なので私にも血が混ざっているんだ。

「これは...地毛で...。」

あー。なんで声震えるんだろ。

こんな自分。好きじゃないのに。

「あー。何?ハーフってやつ?あっ。じゃあ外国人?だからそんなにかたーく喋ってんのー?」

残念ながら、生まれも育ちも日本だ。

「じゃあ、うちらも外国語で喋ってあげるー!」

からかわれるのはいつもの事だ。でもやっぱり胸がズキズキする。

いつになっても慣れないなぁ。思わず涙目になっちゃいそうになる。堪えるのに必死だ。

「何?その目ムカつくんだよッ!」

「...ッ!」

痛い。涙と血が一緒になって口に入ってくるのがわかる。

気持ち悪い。

でも、大丈夫。私は強い子だから、1人でも大丈夫だから。

「あらあら、白い肌に赤色が混ざっちゃったねー?かわいそー。」

「何?まだその目やめないの?...何ならもう1発...!」


「────あの。やめてもらっていいッスか。」


知っている声だったのに、信じられなくてでも、やっぱり嘘じゃないんじゃないかって思った。

──── あぁ。やっぱり



「──── 一ノ瀬...く...ん。」


彼が私の前に立った。
におうだちのように堂々として私を隠すみたいに。

涙が...頬を伝うのがわかった。


「いや。ちっ違うの!その子が殴ってきたから、殴り返しただけで...!」

「じゃあ、なんでセンパイ達にはキズ一つ、ついてないんスか?」

「そっそれはっ...!」


「こいつ、俺の彼女なんで。次、手ェ出したらタダじゃおかないから。」

「...もう!行こっ!」

「ねぇ。アリアちゃん、もう言ったよ大丈夫...。」

まだ、見られたくない。だって、まだ泣いてるから。
私は、いつでも強い子だから。弱いところなんて見せられないよ。
思わず、 一ノ瀬君の背中に顔を埋めた。

( なんだろう。これ。)

ドキって音がして、バクバク心臓がなっているのが分かる。

(一ノ瀬君に聞こえてない...よね。)

こんなに大きい音してるのに、近くにいる一ノ瀬君は気づいてないみたいで、ホッとした。

────キンコーンカンコーン

チャイムがなったみたいで、ふと我に返った。

「あっ。そろそろ、授業でなきゃ...。」

不意に抱きしめられた。力強い、だけど嫌じゃない。

そんな、特別な力が君にあるのかな。

「いーよ。我慢しなくていいんだよ。見られたくないんでしょ。こうしたら俺も見えなくなるから。」

なんで、よくしらない人にここまで出来るんだろう。

君はやさしすぎるんだ。

だから...かな。殴られたとこ..痛いのに

泣いてるのは、痛いからじゃない。

────わからないよ。私にはこの気持ち。