その手紙を一通り読むとふと、思った事を声に出す。
いや、でも2年生だけでもかなりの人数いるし、そんな偶然ある訳ない。
そう自分に暗示をかける。もしそうだったとしたら、私は九条サンと猛先輩か同一人物だったら嬉しいけど、彼はどうであろうか。
想像がつかない。
こんな子が? と思ってしまうかもしれない。顔が見えなくて、誰かわからないから続いてる文通も途絶えて、ピアノさえ弾きに来なくなったら……。
少しマイナスに考えると、沼にハマるようにどんどんと深い所へとハマって行ってしまう。
そんな偶然はない、絶対に。
私は自分にそう言い聞かせれば、元々書いてあった手紙をポケットから取り出し、つけ足すように文章を書く 。
「 牛乳も添えて、完璧 」
手紙を鍵盤の上に敷かれる、赤いカバーの上へと置けば鍵盤蓋を閉じる。
仕上げに譜面台の横へと牛乳を置けば、ふぅとひとつ息を吐く。
深く考えないで、九条サンは九条サンなんだから。
私はそう自分の心の中で唱えれば準備室の中へと入っていった。

