「 名取川サンって俺とどっかで会った事あるっけ? 名取川サンと似た人に会った事がある気がしてたんだ 」
私が何回か思っていた事、もしかして猛先輩が?と思うが、その考えはすぐ自分の頭の中から消した。 そんな偶然ある訳ないと。
でも、少しでも期待していいのならと私も口を開いた。
「 奇遇ですね。私も思っていました。私達会ったことありますかね? まぁ、きっと気のせいだと思います 」
と自分で可能性を信じて、すぐに打ち消す。
もし違った時の保険だ。
「 きっとそうだな……。変なこと聞いてごめん。名取川サンはどんな人と俺を重ねてみてた? 」
少し、寂しげにいう猛先輩。
「 名前も知らない、綺麗な音色を奏でる人です」
私は静かに笑って見せた。

