名前は書いてなかったしな。名無しのゴンベイ? ん〜、照れ屋なんかな? なんて思いながらキーカバーを畳みながら、心の中で少し笑うと畳み終わったそれを、譜面台の横に置いた。 そして、鞄から薄っぺらい何重かにされている楽譜を出すと、譜面台に置き、それを拡げる。 ――――今日はこの曲にしようか。 フゥ、と一息吐くと鍵盤に指先を置く。 ――――そして今日も、俺は音色を奏でる。