前来た時にこの、大きなグランドピアノを綺麗に拭いた。その為か、窓から射し込む太陽の光に反射してピアノに光沢がある。
俺はピアノの前へ歩くと、スゥと鍵盤蓋の上に指を滑らす。鞄を椅子の横に置くと、既に自分の腰の高さに合わせた椅子に座る。
ふぅ、やッぱりここが落ち着くわ……。
鍵盤蓋をカタリと開けると、白と黒の鍵盤の上に掛かる赤いキーカバーの上に、白い封筒が置いてあった。
「 なんだこれ 。誰かのイタズラか? 」
俺は、ジッと白い封筒を見つめる。少し気になって俺はその封筒の中身を見た。
ふたつ折りにされた白い用紙を開くと、綺麗な字で、真ん中に文字が書かれていた。
『 いつも素敵な音色をありがとうございます 。
❀ 』
俺のピアノを聴いた人が、書いてくれたのか。その言葉が嬉しく頬が緩む。その紙を封筒に戻せば、譜面台に置いた。

