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「 桜子〜。例のピアノ少年とはど〜なのよ! 」
季節はジメジメとした6月に移る頃。
私は、毎日の様にあの音楽室に通い詰めている。それを知っている唯ちゃんは、勿論九条サンの事も知っているのである。
「 毎日話してるよ? 」
「手紙でしょ? 」
そこを付かれると、う゛っと思わず声が出る。
「 なんか掴めた? でも、文通して1ヶ月が経とうとしてるのに、未だ2人とも名前を明かしてないんだもんね〜? 」
「 先輩ってことはわかったよ? 2年生だって言ってたし! 」
「へェ? じゃあ私が先輩に聞いてあげようか?2年に九条っていうピアノの弾ける男子いませんか〜って 」
「 う〜ん。でもいいの、彼がどんな人でも今が楽しいから。しかも、九条ってのも本名かわからないしね? 」
友達に聞いてもらうのはなんか違う気がした。聞くなら、自分で聞きたい。そう思った。

