俺はその言葉にお礼を言えば、名取川サンの元へと行く。
『名取川サン、少しいい? 』
「……ッでも」
『 橋本サンには許可もらったから』
オドオドと慌てる彼女は、相変わらず下を向いて俺と目を合わせてくれない。
橋本サンから許可を貰ったと聞くと名取川サンは、〝じゃ、じゃあ〟と苦笑いをする。
彼女の手掴もうとすると、腕についた赤みが見えて、怒りが込み上げる。
教室を出て、近くにある家庭科準備室へと入れば彼女を優しく抱きしめた。
「た、猛先輩ッ……」
慌てるように手をブンブン振る彼女はとても可愛かった。
『ごめん』
「い、いや……いいんですッ」
体を離すと、彼女は1歩後ろに下がり、へへっと申し訳なさそうに笑う。
どうしても壁が消えない。

