でも、途端にションボリと顔を歪める唯に〝どうした?〟と問い掛けた。
「桜子、やっと猛先輩と同一人物だってこと分かって嬉しかったのに、その瞬間他の人とのキスを見せられてさ。あんなに泣いてる桜子、始めてみたよっ」
ポツリポツリと話す、唯はきっと俺に桜子ちゃんは猛が好きだってことをバラしているのには気づいていない。
まぁ、だからと言う事はまだ俺はしない。
『そうか。猛も手紙1枚渡されただけで、他に何も手掛かりなくてよ。桜子ちゃんなんじゃないかって思うんだけどなかなか確信が持てることが起こらないんだよ。だからちゃんと好きになれねぇって悩んでた』
そして俺も唯と同じ間違いをする。
するとふふっと笑って〝それって言っちゃダメなやつじゃないの? 〟と唯は言う。
『唯もさっき桜子ちゃんが猛がスキーってことを遠回しに俺に言ってたけどなぁ? 』
そう、俺はここで言う。
むっと不機嫌そうな表情をする唯は、俺に小指を差し出し〝ふたりだけの秘密ね〟と言った。
俺はしょうがねぇなっと差し出された指に自分の小指を巻き付け笑いかけた。
「じゃ、どうにか誤解を解かせて大接近させるように仕向けよっか! 」
『あまりふざけた事はするなよ? 』
「ふふっ、わかってるよ! 私に任せてくれればいいから」
嫌な予感がするのは気のせいであろうか。
俺はまだ何もされていないであろう桜子ちゃんの無事を祈った。

