「桜子……? いいよ、ゆっくりで」
唯ちゃんは優しく私の頭を撫でて待ってくれる。
『猛先輩はっ……野田先生とキスしてたのっ。コンクールも野田先生の、伴奏で猛先輩は参加しててっ……とてもお似合いだったの』
コンクールの事を思い出すと、ボロボロと目から涙が溢れる。
頭に感じる優しい温もりに、更に涙が零れた。
『やっと、猛先輩の事をきちんと好きになれたのにっ……。気持ちだけでもって思ったけど、あんなの見せられちゃったら……』
泣き声を出さない様にと、クッと下唇を噛む。
好きなのにっ……大好きなのにっ……。
唯ちゃんは優しく私を抱き寄せてくれて、授業が始まっているというのに、それを気にせず黙って私が泣き止むのを待っていてくれた。
『唯ちゃんごめんねっ。ありがとう』
「いーのいーの。いっつも相談乗ってくれてるから、たまにはいいでしょ? 」
私が笑うと、唯ちゃんは頭を撫でて優しく笑ってくれた。

