1つ息を吐き、お手洗い室を出ると野田先生から猛先輩へとキスをしていて、離れた野田先生に向かって猛先輩は笑いかけていた。
『……ッ!』
2人がお似合いで素敵で、でもそんな姿は私には酷だった。
その場から、私は逃げるように去った。
私は市民会館の事務員さんにお願いし、手紙を渡してもらうことにした。
『 素敵な演奏をありがとうございました。
とても心に残るものでした。
私はやっぱり九条サンの弾くピアノが大好きです
体調が悪くなってしまい、手紙となってしまいました。すみません。
今度の機会に会えたら嬉しいです。
❀』
『今回のコンクールの出た九条 猛に、渡して下さい』
「わかりました」
事務員さんのおじさんは、私の顔を見れば何かがあったんだろうと察してくれたのか、優しく笑って飴玉を1つ私にくれた。
その優しさにまた涙が溢れそうになるが、歯を食いしばって我慢し、お辞儀をすればバス停へと歩いていった。

