「11番、野田 沙織。伴奏 九条 猛」
今、間違いなく彼の名前を呼んだ。
壇上へと上がる彼は、間違いなく猛先輩でいつも着崩してる制服はきちんと着こなしていて、とても凛として見えた。
ヴァイオリンを弾くのが野田先生な事なんて、今はどうでもよかった。
落ち着いていた心臓の音が嘘のように、バクバクと胸を打つ。
やっぱりピアノを弾いていたのは猛先輩だった……! 心がスッキリとし、猛先輩と九条サンが同一人物だったという事が嬉しくて、頬が緩んだ。
これで貴方を好きになれる。
私はそう思うだけで心が痛くなるほど締め付けられた。
壇上の2人はアイコンタクトを、お互い確認すればこのアリーナ中にピアノの音が広がった。
この大好きな音が鳴り響く。この数ヶ月何回も第2音楽室に通った。
毎回聴いても飽きずに聞けたのは、猛先輩だったからであろう。

