確かに夏休みまでは先生の為に頑張っていた。
『 先生の為じゃありませんよ 』
彼女に最高の演奏を届ける為だ。
「 何だか……妬けちゃうわァ。九条君の想い人って誰なの」
俺の近くへと身を寄せ問い掛けてくる先生。
先生からは、ほんのりと甘い匂いが香る。
『先生には関係ない事ですよね? 』
「関係ありありよ? だって先生っ」
俺は開こうとした、彼女の唇を人差し指で制した。
『俺はそんな禁断の恋とか興味もする気も全くありませんから。その後は自重して下さいよ。せんせっ』
出来るだけ優しく先生に微笑みかければ楽譜を畳み鞄へと突っ込み、その場を立ち上がった。
『じゃあ、今日は終わりにしましょうか。また明日宜しくお願いします』
そう言えば俺は先生1人置いて音楽室を去った。

