『なんだよそれ。別に付き合ってねーよ! いい感じでもねぇし。そんな風にあの子のこと見てねぇから……』


どの口が言う。自分が思う言葉と真反対の言葉かポンポン出てくる。

にまぁっと、嫌な笑顔を向けて来る奴は俺の事はなんでもお見通しだ。とでも言ってるようだった。



「で、本当は? 」


くっそ、変な所で鋭い奴……まじ嫌いだ!!



『……好きだ。だけど、あの子の事をどうしてもピアノの彼女と重ね合わせちまうんだよ。だからハッキリさせねぇと、名取川サンの事をきちんと好きとはいえねぇ』



「ふ〜ん、そんなに桜子ちゃんピアノの子と似てるんだ? もしピアノの子と同一人物だったら運命感じちゃうねェ〜? 」



昌は俺の話を聞けば、ククッと笑えばテーブルにドンと手を置くと〝面白いじゃん? 〟といい予感がしない表情をする昌に今日何度目かのため息を吐いた。