なりのじぶん

俺たちは自転車の止めてあるところまで、少し距離をとって歩いた。

高坂さんは、どうして泣いたの?なんてデリカシーのないこと、やっぱり今は聞けそうにない。

高坂さんはただまっすぐ前を向いて歩いていた。


「俺、高坂さんにはかなわないな。」


そう言うと、高坂さんはまた少し視線をそらした。

さっきと同じように泣かせてしまいそうだった。


「とにかく、ほんとにごめん。悪気はないんだよ」

そういうと高坂さんは少し頷いた。

するとこっちを向いて

「忘れ物した

から、またね」

と言った。

「うん…」

そう言うことしか出来なかった。

俺は弱い。