尾関くんは背後からわたしの手を取ってハンカチを渡してくれた。

わたしはそんな優しさにまた甘えてしまった。

やっぱり涙は止まらなかった。

「高坂さんが泣き止むまで、近くにいてもいいかな」



「カバン、とってきて」

それはもう照れ隠しとかなんとか分からないけれど咄嗟に出た言葉だった。

私がそう言うと尾崎くんは黙って階段を上り始めた。