「あらまあ寒かったべ、さあさ中入って入って」 私の腕をつかみぐいと中へ引っ張った。 「弟から聞いでっから、大丈夫だ。」 「ご兄弟なんですか?」 私がたずねると、女将は笑って私の肩をチョンと叩いて言った。 「んだよ。ぽっちゃりしたどご似でるはんで 。さ、こっちさけ」 そう言うと、女将は私の手から荷物を取り歩き出した。私は黙ってその後をついて行った。 外は吹雪いているせいか、ガタガタと家鳴りがしている。思わず天井を見上げた。