今日はすごく寒いな、
私はとうとう望みどうりこの街にこれた。
君の住むこの街…。
冬の寒さと心の中に湧き出したあついもので私の体は、震えが止まらなかった。
駅前の凍てつく夜、列車から改札口を抜けるまで誰にもあわなかった。

タクシーのライトが眩しく光った。 

「姉ちゃん寒いべ、タクシーさのるがね」

タクシーの運転手が窓をあけ言った。

「あ、お願いします」

タクシーのドアが開き、私は急いで後部座席に転がり込んだ

「運転手さん、どこか泊まる所ない?いいホテルないかしら?」

私が訪ねると運転手は口を大きく開け目を見開いた

「あんだなぁ、なぁもしねえでこだな夜さ来て…俺のタクシーさ乗らなければ凍えしんじまぁどごさ。良いどご探してやるで」

そう言うと、タクシーは走り出した
街はもう闇につつまれ、タクシーが走ると雪けむりが立つ
信号機だけが凍てつく夜の闇に浮かび上がり、光を放っていた。

「観光け?まあ、こっだら夜中にくんだば仕事か

運転手はバックミラーで私を見ながら聞いた。

「あ、ええちょっとね…」

私は言葉を濁しながら笑った。
しばらく沈黙が続くとタクシーが路端に止まった。

「ちょっと待ってでな、聞いでやっから」

そういうと、タクシーの運転手は車を降りて行った。私は車の窓の曇りを指でなでた。そこには古いペンキの剥げた看板が見えた。は?旅館?古そうでちょっと不気味…。まあいいや、背に腹はかえられないか…