魔王の甘い罠 【完結】

全部を聞きたかったけど
聞くのが怖かった。


そこから賽銭箱の前に立つまで、一之瀬君は何も言わず、私も何も言わなかった。
でも、一之瀬君は、私の肩から手を離さなかった。


賽銭箱の前に立ち
2人せーの、でチャリンと小銭を投げる。

お祈りをする。

除夜の鐘が鳴り響く。


―――一之瀬君の喘息が、もっともっとよくなりますように―――



大丈夫。ちゃんとお祈りできた。

これは家を出る前から決めていたこと。