数時間前の興奮が収まらず、あたし並木遥(なみきはるか)は部屋の電気をつけたままベッドの上で一人横になっていた。

ステージでの自分達の演奏が、まだ頭の中で響いている。


それぞれの音の粒が一つの音楽になって、ぶわっと会場を包み込んだあの瞬間。

そのときあたしはフルートを吹きながら、全身に鳥肌が立ったのを覚えている。


結局全国大会は逃したものの、東丘高校吹奏楽部の演奏は、審査員より金賞の高評価を獲得した。

部員の皆と感動を分かちあったあの瞬間が、まだ余韻として胸に残っているんだ。


コンクール会場からホテルに移動してからは、部員全員で夕食をとった。

部屋のみんなはそのあと大浴場に行ったけど、タイミング悪く生理とぶつかってしまったあたしは、ベッドの上で一人暇を持て余していたのだ。