私の家から高校までは40分間電車に乗り、その後10分ほど歩く。

家から近いとは言えないけど、どうしても行きたい高校だった。

女子高校

その響きに憧れてここを選んだ。

入学してから3ヵ月が経った。

今は7月。

最初は地元から少し離れるのは不安だったけれど、クラスの皆が明るくて、仲が良くて、学校に行くのが楽しみで仕方ない。

なかでも1番仲がいいのは出席番号が前後の“津原 夏香(つはら なつか)”。

彼女はスポーツが得意で、水泳部に所属している。

だからと言ってボーイッシュなわけでもなく、身長150cmの可愛らしい末っ子キャラ。

女の私から見ても惚れる勢いで、本当に可愛い。

そして面倒見がよくて頭もいい。

男の子って、こういう子を好きになるんだなって、思った。

こんな完璧な子、惚れちゃうよ。

「みーつーきー!」

こうやって、無邪気に私の名前を呼ぶ夏香。

私が“電車の彼”のことを話している唯一の友達。