「友嵩〜」

そうやって愉快に話しかけてきたのは今井 紘大(こうた)。

部活が一緒だから結構仲がいい。

あ、因みに俺剣道部。

意外だった?

一応文武両道。

「おーい!無視すんなー」

紘大がふてくされる。

「すまんすまん。で?」

「今日いたか?

彼女」

こいつにだけは話している。

普段はおちゃらけているが、根は真面目。

性格もいい上に、イケメン。

なんだこいつ。

モテる要素しかねぇ。

悔しいが、認めざるを得ない。

部活では去年1年生ながらにして選抜メンバーに選ばれ見事な成績を残した。

「だから無視すんなって」

「あぁ、いたよ。」

これ以上言うと恥ずかしくなりそうで素っ気なく返事をした。

「俺も見てみたいな〜。凄い可愛いんだろ?」

「誰がお前に見せるかよ。」

そう返事をした俺に対して、

まだお前のものじゃないのにね〜

紘大は独り言のように言った。

わかってるさ。そのくらい。

俺って、こんなに恋愛下手だったっけって思うくらい進めない。

もうすぐ夏休みに入ってしまうというのに。