門をでて、歩き始める。



サッカー部はすでに、部活を終えようとしていた。



木々が、さわさわと揺れて、心地がよかった。


「どんなとこを好きになったの?」

私がぼー、っと上をみていると、中野くんがたずねてきた。


「うーん、と。
よくわかんない…」

ほんとうに、わかんない。



すてきなところかな。

かっこいいとこ?

やさしいとこ?


そんなのいくらでもある。


でも、ただ、単純に、


心が、

フワフワと、キュウっと、チクチクと、



揺れたんだ。



「そっかー。まぁ、そんなもんか!俺も結城さんのことなんで好きかわかんない。可愛いし、性格いいし、素敵だから、ってのもあるけど…」


一緒だな、と、

中野くんはわらった。



中野くんは笑顔が素敵。


私も、ちゃんと、

まっすぐと、笑いたい。


青になった信号をわたり、


私たちは

当たりざわりのない会話をしながら、


帰った。