「おー?新しいカップルかー?」


からかうような声が聞こえて、


私はもう顔をあげれなくなってしまった。


「なっ、ちげーし!うるせー橘!」


中野くんがバンっと、橘先生の肩を叩いて、笑っていた。


「そうかそうか、お前らいい感じじゃん、付き合っちゃえよ。
じゃあな、さよなら。」

橘先生は、笑いを含んだ声でそう言うと、



スタスタ、校舎の方へ、去ってしまった。


「ホンット、腹立つけどいけめんだよなー、」


中野くんの声が聞こえてるのに、


身動きも、声もだせなくなって。


校門の少し出たところで、立ち止まってしまった。


「結城さ、ん?」

中野くんが、私を心配そうにみる。



ふ…、と、細い息を吐くと、力が抜けた。



「え?結城さん!?」



中野くんが驚いた顔を見せる。

ポロ、と、

すこし、頬を通った。


涙がつたっていた。