ユノは、うんうん、と相槌をうちながら話を聞いてくれた。


あー、ユノ大好き!


ユノと話したあとは、
チャイムがなるまで自分の席でボーっとしていた。




ユノとトイレへ行った帰り、

中野くんと会った。(前に告白してきた人)



なんか、どき、っとしてしまった。


中野くんは、こっちに気づくと、


あ、

と、小さく声を漏らして、

「ちょっとだけいいかな?」

と、微笑んだ。


ユノは、
いってらっしゃーい、と呑気に歩いていった。


ポツン、と二人の空間に、

中野くんは、

「引き止めて、ごめんね。」


と謝った。


ううん、と私はくびをふる。

前よりみじかくなった髪はさっぱりとしていて、中野くんの綺麗な顔がよく見えた。


「あ、えっと…返事がほしいなって。……告白の。無理だったら無理で、ほんとに大丈夫だし、うん、……だから、返事、いい?」

中野くんは、丁寧にそう話すと、

大きな瞳を私に向けた。


……ん、。

そう、だよね。

いつまでも、

引き伸ばして、

悪いやつだよね。


「……率直に言うと、ごめんなさい。…私、最近、好きな人ができて。…それで、ごめん。」


なんだか、こんないい人をふるのは、とっても申し訳ない気がして、

わたしは、うつむいた。


ふ、っと、優しいわらいがきこえた。

「そっか!そうだよな!…こっちこそ急にごめん!」

中野くんは、優しく、笑って、

私に大丈夫、と言ってくれた。


そして、でも、と話をつづけた。

「でも、俺たぶん、今日話して、さ…もっと結城さんのこと、好きになったかもしんない。……ごめん。」


しずかな、廊下に私達ふたりの話し声だけがひびく。

中野くんは少し頬を赤らめて、照れたような笑みをうかべた。

「……うう、ん…。ありがとう」

素直に、嬉しい、と思った。

今までの人とは、ちがう、って。

直感的におもった。