「やっぱり可愛かったねぇ」

ワカナがニコニコと笑って喋る。

「だよね!」と、ユノ。


うん、たしかに、美人だった。


「でもぉ、なんか、性格わるそお。」

ワカナは少し首をかしげてそう言う。

そして、ワカナは私のほうへ来ると私の胸の中に飛び込んできて、


「やっぱり、蘭がいっばんだね!」

と、上目遣いでそう言った。


……はは。

「ありがと。」


私もニコッと笑って見せて、ワカナの髪をなでなでしてあげた。

そうすると、ワカナえへへ、と可愛らしく笑った。

はは。


性格悪いのはどっちだよ、つーの。


あの先輩とまだ仲良くないくせに。

はぁ、と小さいため息を吐いて、私は皆がワイワイしてる中、窓の外をみつめていた。



放課後。

今日も帰りはひとり。

こんどは、ユノは図書委員会。

ほんと、なんでもかんばってるよなあ。

見習わなきゃ、ね。


そんなことを考えながら、自分の教室からでて、階段を降りて、靴箱まで、たどりついた。


そのとき。


「橘先生!待って、!」

パタパタと廊下を走る音と、

息の切れるような、切ない声が聞こえた。


橘先生……?


少し、気になって、声の方をのぞくと。

案の定、その声のひとは、

廊下にいた。


しかも、橘先生と、

美少女転校生。

う、わあ。


なんか、やばいかな。


そう思ったけど、帰るわけにもいかず、

靴箱に隠れて、話を聞いていた。