儚いオモイビト。

ふぅ…………。


家に着いて、携帯を見ると、

LINEがはいってた。

ん。

ユノ??


ユノ《なになに!もしかして好きな人、橘先生?》

と来ていた。


……!?

はぁぁぁ!?


《そんなわけない!》

とだけ送って、

ソファにたおれこむ。


もしかして、話していたところ、


みてたのかな。


「うぅ……」

胸がきゅう、ってする。


いままで、

恋をしたことないからわかんないな。


そうやって、私はなにもかもから逃げてる。


したことがないから、できないから。

最初から決めつけて。


もー、こんなわたし、やだよ。


うずくまっていると、

「蘭ちゃん?大丈夫なの?」

とお母さんが心配して私の方へきた。


「うん、ごめんごめん、大丈夫、」

笑ってみせると、

お母さんも、そう、とニコっとわらった。


40歳にしては若いほうだと、おもう。

胸まであるウェーブのかかった茶色い髪がユラユラ、と揺れていた。