儚いオモイビト。

……。


やだやだ。

階段でこけた私を助けた王子様てきな役割のひとが、橘先生?

マンガ、みたいな、はな、し……。


私はぶんぶん、と頭をふって、

意識をもどす。


「怪我してない?」

ニコ、と笑って橘先生は言う。


どきり。


「あ、…は、はい。」

声が震えた。

なに、ドキドキしてんだろう。


「それじゃ、あ、さようなら…」


ぺこり、と深々と礼をして、

帰る、


つもりだったんだけど、

「ちょっとお話しよう」


そんな、橘先生の提案で、

すぐ近くの、私がこけた、

階段へ腰を下ろす。


どく、どく、どく。

なんか、このドキドキは、なんかおかしい。


胸がぐるんぐるん、なって、

苦しい。


これが、ぞくにいう、

恋、


なの……?


私はまた、ひとり、頭の中で空想していた。

「ははは!…結城さん、面白いなあ!」

そんな私をみて、橘先生は笑った。


どぁぁぁ!
だから、そんな笑顔で笑わないでよ。

"結城さん"

だってさ、

あくまで、生徒だもんなぁ。


フゥ、と1人心を落ち着かせ、

姿勢をただす。


「結城さんは、頭いい?」

ん、何、その質問。

「え、っと、頭いいのかな、…でも、空気はよんでるつもり。」

と、私は説明する。

「あはは、違う違う、成績だよ。」

また笑った、。

「学年3位、くらいです、常に。」

そう言うと、

橘先生は目を細めて、


「そっか、」

と微笑んだ。


ドキリ。

もう、

心臓がつぶれちゃうかも。


そんなこんなで、
私と橘先生は他愛のない話をしていた。


15分くらいになり、時計の針が4時半をさしたので、私は帰った。

胸の、苦しさはまた増していた。