隣のクラスの男の子。


教室のドアから私の方をのぞいて、

私を呼んでいる。


だれ?

しゃべったことない、けど。

私は歩いて、そこまで行く。


扉からのぞく、綺麗な顔にすこしみとれた。


サラサラの黒髪に、綺麗な顔立ち。

笑うとくしゃり、となる可愛い系。


「ちょっと、いい?」

その男子は私の手を引いて、

人気のない階段の踊り場まで、つれていった。


うーん。

告白、と思っていいのかな。

うぬぼれてたら恥ずかしい……。


案の定、その予想は的中した。


頬を少し赤らめ、その男子は、

頭をさげる。


「あ、…結城さん、俺と付き合ってください」


サラサラ、と黒髪が揺れている。

不覚にも、綺麗だと、思ってしまった。


胸の、うごきは、なにもない。


橘先生のときに感じた、苦しみも、なにも。


緊張したように、私を見る彼。

私は、

「ごめんなさい…。私、まだあなたの名前知らないし…」

と、率直な意見。


すると、彼は、

「そっか、」と、苦笑いして、


「あ!俺は中野 悠(ナカノ ユウ)!よろしく!」

と、笑った。

好感。

うん、なんか、好感もてる。


そんなこんなで、話はおわって、

私はひとり教室にもどった。