あたしが改めて尋ねると、お父さんはあたしの目を真っ直ぐに見ながら言った。



「白血病。正確には慢性骨髄性白血病というらしい」

 

白血病!?

そんな、まさか。


「……嘘でしょ?」
 


お父さんは何も答えない。


助けを求めるようにお母さんとお兄ちゃんの顔も見たが、誰も答えてくれない。

誰も嘘だと言ってくれなかった。



「嫌よ。嘘でしょ?嘘だって言ってよ‼
ねぇお兄ちゃん‼こんなたちの悪い冗談止めてよ‼」
 


あたしはお兄ちゃんの肩を激しく揺すった。


お兄ちゃんはずり落ちかけた眼鏡を押し上げて静かに答える。



「嘘や冗談じゃないんだ。本当に咲雪は……」
「やめて!もうやめて‼」



あたしはお兄ちゃんの言葉を途中で遮って耳を塞いだ。



そんな言葉を聞きたいんじゃない‼

あたしはただ嘘だと言って欲しいだけなのに。