病院から帰ってきた日の晩、食事が終わって席を立とうとしたとき、お父さんがあたしを呼び止めた。



「咲雪、ちょっと話があるから座りなさい」


「え、なに?」



なんかお父さんの声が厳しい感じがする。
再び席に着くとお父さんが口を開いた。



「話というのは咲雪の体のことだ。
昨日、病院でお父さん達は咲雪の病気のことを詳しく聞いてきた」
 


あ、そのことか。

体調もだいぶ良くなっていたからすっかり忘れていた。


「どうだったの?大したことないんでしょ」
 


それはもう、ほとんど確信に近かったのに。

お父さんの反応は予想外だった。



「それは……」
 

お父さんが言いかけて止める。言葉を選んでいるようだ。



「はっきり言って、決して軽い病気じゃない。だけど、治らない病気でもない。昨日、話をしてくれた先生は治る可能性はかなり高いと言ってくれた。だから、確実に治す為にも、近いうちに咲雪は入院して集中的に治療をしなくてはいけないんだ」