俺も嫌な予感を感じながら母の後に続いて中に入った。
二重になったドアを通り抜けると、病院特有の消毒液の匂いがツンと鼻をついた。
点けっぱなしのテレビ。
よれよれのパジャマを着て長椅子に座って話をしている老人。
足にギプスをつけて松葉杖でぎこちなく歩く若者。
せわしげに動き回る医師や看護師達。
ちょっと混んでいるロビーを通り抜け、薄暗い廊下をしばらく歩く。
やがて母は小会議室と記されたプレートが付いているドアの前で立ち止まった。
そして、軽くノックする。
「どうぞ」
中に入ると、父と見知らぬ医師が既に座って待っていた。
「すいません。遅くなって」
俺がそう言うと、父が空いていた椅子を指差して言った。
「圭祐、とにかく座りなさい。これから大事な話が始まるから」
「はい」
医師は俺が椅子に座るのを確認してから口を開いた。


