なんでだろう。
そう思った瞬間、なんだか心の中が軽くなったような気がした。
ずっと胸の中につっかえ続けていたものが外れたように。
俺の頬を、自分の意思とは関係なしに熱い液体が一筋伝って、それは風の中に散った。
俺はそれを拭いもせずに、視線をジープの左手の方向に転じた。
草でさえまばらにしか生えていない岩と砂ばかりの砂漠。
その中にある一つの巨大な岩の上で翼を休めていた一羽の大きな鷹が、力強く翼を羽ばたかせて飛び立った。
鷹は、たちまちのうちに上昇気流をつかまえて、大きく円を描きながら高く高く舞い上がって行く。
この荒涼とした砂漠で、たった一羽でも強く生きるあの鷹の姿に俺は一種の感動を覚えた。


