未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。


咲雪の体が一瞬震え、大きく息を吐き出す。

咲雪の体から全ての力が抜け、腕にずっしりと重さがかかる。



「おい、咲雪?……なあ、返事しろって‼」

 
呼びかけても、彼女はもう何の反応も示さなかった。



俺は、世界で一番大切な女性を永遠に失った。





抱きしめている咲雪の体から、急速に抜けてゆく温もり。


俺は、去りゆきつつある咲雪の命を引き留めるかのように。

痩せてしまった彼女の体を強く強く抱きしめながら、彼女の名を呼び続けた。



「咲雪……咲雪……咲雪ぃぃーー‼」






やがて心拍計の波はなくなり、微かなギザギザを紙に書き記していた脳波計の針もただ直線を記すだけになった。



「十一時五十二分、お亡くなりになりました」


堤先生の声とそれに続く誰かのすすり泣く声が、どこか遠くから聞こえる。



咲雪が、死んでしまった。