咲雪が苦しそうに呼吸をしながら途切れ途切れに言う。
俺は咲雪のそばに駆け寄り、その手をそっと握った。
その手は、てっきり熱いと思っていたのに逆に驚くほど冷たい。
「咲雪、お前、手が冷たいぞ。雪でも触ったんだろ?
まったく、馬鹿だな。雪ぐらいで子供みたいにはしゃぐなよ」
俺は、咲雪が死につつあることを認めたくなくて、無理にふざけようとした。
そんな俺を、咲雪は優しい目で見つめてそっとささやいた。
「……手の感覚、もう、無いの。
……悠聖、あたし……もう、駄目みたい…」
「馬鹿。何言ってんだよ!まだまだ頑張れるよ!
ここが正念場だから、ここさえ乗り切れれば咲雪は治るんだ。きっと良くなるから‼」
俺は自分が泣いているのがわかっていたが、流れる涙を拭いもせずに、咲雪の命を繋ぎ止めようと彼女を励まし続けた。


