「ごめんね、悠聖。我儘言っちゃって」
 

咲雪が上目がちに俺を見ながら言う。



「別にいいさ。咲雪の頼みならなんでも聞いてやるって約束したもんな」


「え、それ、まだ生きてるの?」

 
咲雪が嬉しそうな表情を浮かべる。



「無期限だよ」

 
期限付きの約束なんてやらしい真似を誰がするんだよ。



「あ、なんか嬉しい」 
 

そう言って笑った瞬間、また咲雪は咳き込んだ。



「おいおい、大丈夫か?先生、呼ぶか?」
 

俺が聞いても、咲雪は咳き込みながらも首を横に振る。



「だ、大丈夫。それより、今日はどうしても悠聖と一緒にいたくて……」


「今日はずいぶん甘えん坊だな。一体どうしたんだよ?」


「悠聖は、あたしと一緒にいたくないの?」
 

俺の質問には答えずに咲雪が更に聞いてくる。



「なんでそういうことを言うの?
……俺はいつだって咲雪と一緒にいたいよ。決まってんじゃん」