「もちろんそうよ。でも、やっぱり心配じゃない。あの子が自分の両親と同じようになるかもしれないと思うと」
両親の会話が咲雪の出生に関することになってきたので、俺はその場を離れた。
ほんの少し、ここに留まって話を聞きたいという欲求にとらわれかけたが、俺はその気持ちを押しとどめる。
好奇心を満足させるということは、嫌でも咲雪と俺が本当は血が繋がっていないという現実を直視せざるを得なくなるということだから。
キッチンの流しでみんなの食器をわざと水音を立てて洗い始めた。
父と母の会話をこれ以上聞かないようにするためだ。
でも、話は聞かなくても、俺の頭の中は咲雪の出生のことで一杯だった。


