「それじゃ、やりますか。
央子、いい?」
央子ネエが黙ったまま頷く。
みんなが黙ってから、お兄ちゃんはそっとその細長い指を鍵盤の上に下ろし……かけて止めて、央子ネエに言った。
「せっかくだから、あれやる?あの詞、すごく良かったから」
「え、あれすんの?」
微妙に嫌そうに言う央子ネエ。
「んー、でも、咲雪に聞かせようと思ってたわけだし、いや?」
「……べつにいいけど」
何がなんだかさっぱりわからない。
あたしが首を傾げていると、お兄ちゃんが今度こそピアノを弾き始めた。
今まで聞いたことがないのに、なんとなく懐かしいメロディがそっと流れ出す。
これ、なんていう曲なんだろう。
央子ネエが歌い始めたらわかるかな。
単純な短い旋律が何度か繰り返され、それが最高潮に達した時、央子ネエが歌い始めた。


