その日、9時過ぎに二階の手術室に入った央子。


俺達は当然中に入ることは出来ないので、央子の身を案じながらただ待ち続けた。


その時の圭祐は、央子を心配するあまり気が狂ってしまうんじゃないかと、こっちが心配になるほどの狼狽ぶりだった。





やっと11時前に手術室のランプは消え、まだ麻酔で眠っている央子は咲雪の病室の近くの無菌室に移された。


骨髄が採取された央子は一時的に細菌感染にものすごく弱くなるので、免疫力が回復するまでの数日間は無菌室にいなければならない。


圭祐は、央子が目を覚ました時の為に央子のそばに付き添うことになった。



央子から採取された600ccもの骨髄液は、中に含まれる繊維質などを濾して取り除いてきれいにされて。

輸血用パックに詰められて12時頃に咲雪のもとへ運ばれた。



そして、昼過ぎにその骨髄は点滴でゆっくりと咲雪の体に入り始める。


咲雪は、ぽとり、ぽとりと輸血用パックから出る骨髄液を真摯な表情で見続けていた。