午前8時40分頃に、央子ネエがお兄ちゃんに連れられて無菌室にいるあたしの所に来てくれた。


気のせいではなく、央子ネエの顔色が悪い。




「ひ……ろこ、ネエ……」


声が出ない。ちょっと声を出すだけで吐き気がこみ上げてくる。

苦しい。



「咲雪、体の具合はどう?大丈夫?」


開口一番に央子ネエはそう聞いてきた。



「かなりきついみたいだ。昨日の放射線のせいで喉の粘膜が傷ついたらしくてずっと吐き気が続いてる。
昨日も食事どころか薬まで吐いちまったんだ」



今はとても話せる状態じゃないあたしの代わりに、悠聖が答えてくれた。


昨日からずっと付き添ってくれている悠聖は、寝不足で目の下に隈を作っている。



「そう……」と、央子ネエは一瞬辛そうに顔を歪めたが、無理に元気を装って大声で言った。


「咲雪、頑張るんだよ!あたし今から手術室に行くから。もうすぐ骨髄が届くからね!

絶対に諦めたら駄目だからね‼」


「あり……が……」