「でもさ、あまりあたし好みのがないんだよね。マタニティ系とか主婦の友とかあきらかに関係ないし。
そしたら、さっき圭祐君が談話室の前を通り過ぎたような気がしたから慌てて戻ってきたの。
……実はずっと後ろについて歩いてたんだけど」
「え?どこから!?」
「ナースステーションの前から。いつ気付くかなーって思ってたけど」
「もっと早く声かけてよ」
「いや、こうなったら驚かさないとって思って」
「うわ、最低」
「面白かったよ。うん」
央子がしてやったりって顔をするから、ちょっと意地悪したくなった。
「心配するまでもなかったな。ああもう、帰ろ」
俺が身を翻して戻ろうとすると、ふいに後ろから抱き付いてきた央子。
このリアクションは予想できなかった。
「ひ、央子!?」
「ご、ごめん。ふざけて……。お願い、もうちょっと一緒にいて」


