咲雪の返答に、見る見るうちに茉優ちゃんの目から大粒の涙が溢れ出してくる。



「そんなの駄目じゃん。あたし達がいないと頑張れないなんて……あたし達がそばにいなかったらどうするのよ。
咲雪ならどんなに辛くても頑張れるよ。

……なんか、あたしが言ってること変みたい。ごめんね。なんか言葉がうまく出てこない。

……でもね、咲雪が頑張れたのがすごく嬉しいんだけど本当に……だけど……ううー」



とうとう感極まった茉優ちゃんは、咲雪のストレッチャーに取りすがってワンワン泣き出してしまった。


そんな茉優ちゃんを、咲雪は優しい目で見つめている。



俺は茉優ちゃんに何か言ってやりたかったが、何も出てこない。


誰もがしばらくの間、口を開こうとしないで、茉優ちゃんの嗚咽だけが静まり返った病院の地下に聞こえていた。



.