わざわざ咲雪が不安になるようなことを言う必要はない。
今はただ、咲雪の強さを信じるだけだ。
俺の気持ちが伝わったのか、ありがたいことに咲雪はそれ以上聞かなかった。
俺は後ろの方をちらっと振り向く。
咲雪と同じくらい蒼い顔をした親父さん、お袋さん、茉優ちゃんが目に入り、無表情な央子と目が合った。
俺が頷くと央子は小走りに追いついてきた。
すかさず圭祐が央子に場所を譲る。
「咲雪、ここが頑張りどころだからね!
絶対良くなるからね!」
咲雪は少し首を動かして央子の方を見た。
「うん頑張る。央子ネエ、ゴメンね。あたしのせいで大変な思いさせちゃうね」
咲雪が申し訳なさそうに言うと、央子は少し怒ったように言った。
「もう!人のことを心配する前に、咲雪は今は自分のことだけ考えなよ。人のことまで心配する余裕なんて無いんだから。
あたしは大丈夫。あたしのことは心配しないで」


