「さ、きっと悠聖君たちが今頃そわそわして檻の中のクマさんみたいになってるわよ。
大丈夫、もしこれ以上抜けるようならバンダナでも頭に巻けばそんなに目立たないわ。

でもとにかく、今は全然大丈夫だから悠聖君たちをここに呼んでくるけどいい?」



あたしが頷くと、央子ネエはすぐに病室から出て行こうとした。



「あ、央子ネエ!」


「ん、何?」


央子ネエが振り向く。



「ありがとう」


央子ネエの顔に笑みが広がってゆく。


「どういたしまして」と、言葉を返す彼女は思い出したように付け加えて言った。



「咲雪、あたしの骨髄、使えそうだからあげるね」



まるで、服をくれるかのような気軽さで、それだけ言って病室から出て行ってしまった彼女。


後には、言われた意味が理解できずにいるあたしがただ一人残された。



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