俺は半ばその答えを予測していた。


咲雪は小さい頃からトンカツが大好物だった。

だから、すでにトンカツ用のロース肉も揚げるためのラードも買ってきてある。



「よだれ垂れてるぞ」


「え!?やだ嘘!?マジ?」



咲雪が慌てて口元を押さえる。



「普通に嘘。
トンカツね、楽しみにしてな」


そう言い残して咲雪の部屋を出た。



「最っ低‼お兄ちゃんのイジワルッ」


ブーイングはあえて無視して。










その日の夜のトンカツは控えめに言っても最高の出来だった。


すごく喜び、冗談半分に貧血になってよかったと連発している咲雪。


その咲雪の笑顔を見れただけでも、俺は苦労が報われる気がした。




やがて、食事も終わりに近づいた頃、不意に家の電話が鳴り出した。