「あ、わかった?」


「意地悪‼こんな恥ずかしいことを何度も言わせるなんて!」


「恥ずかしいことって?」



あえてもう一度聞く。

その返答に咲雪は真っ赤な顔をして思いっきり舌を出し、またそっぽを向いてしまった。



「咲雪」


「…………」


「おーい咲雪。咲雪ちゃん」


「…………」

 

照れているのか返事もしない。


そんな彼女を抱きしめたいという衝動に駆られたが、ビニールのしきりに阻まれているのでそれは出来ない。


俺はやっとの思いで自分の中にこみ上げてきた衝動を押さえ込み、咲雪に言った。



「いつか、一緒に行こうな。絶対に」



咲雪はそっと俺のほうに向き直り、潤んだ目で俺を真っ直ぐに見つめながらはっきりと頷いてくれた。



「……うん」



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