あたしが目を開くと、ビニールの仕切り越しに悠聖の心配そうな顔が見える。


悠聖がいつものように笑いかけてくれないことを不満に思って呟いた。



「……な……んで……わらっ……て……くれ……ない……の?」


上手く言葉が出てこない。


夢の中ぐらい、自由にしゃべれてもいいのに。
夢の中でまで苦しくて上手くしゃべれないなんて出来すぎてる。



「……こんな、苦しそうな咲雪の姿を見て笑えるかよ」


悠聖が泣きそうな表情でそう言う。


こんなこと初めてだ。
いつもなら、悠聖はあたしが笑って欲しいと思ったら笑ってくれるのに。


あたしは困惑した。



「わらってよ……わらってくれ……ないと……やだ」


あたしが駄々をこねると、無理に笑顔を作ってくれる悠聖。


「ありがと……」



あたしは満足して目を閉じた。
いつもならここで目が覚めるはずだ。

なのに、目の前は真っ暗なまま。


目を開くと、さっきと同じ悠聖がいる。