俺は、その日は朝から病院に行っていた。

今朝から咲雪に抗癌剤の点滴が始まったのだ。


本当はもっと早く始めるべきだったのだが、咲雪の生理が終わるまで延期されていた。



抗癌剤で咲雪の血液中の未熟な細胞を殺して細胞の数を少なくし、骨髄の働きを活性化させて再び血液細胞の数を元の値まで戻す。


このサイクルを白血病の原因である未熟な細胞が全て無くなるまで繰り返す。


この治療には、どんなに順調な人でも4ヶ月は最低でもかかるそうだ。




俺は朝、咲雪を励ましてから学校に行くつもりだったけど。

抗癌剤の投与が始まる前の咲雪の不安げな表情が頭から離れず、結局、学校を休んでビラ配りに専念することにした。


こんな状態では勉強なんかに集中できるはずがない。





俺は今、駅の近くで通りかかる人たちにビラを配っている。


ビラを受け取る人の反応は様々だ。