俺は教室の入り口のところで央子が登校してくるのを待っていた。


昨日のことは俺が悪かったから、央子に謝るつもりだ。



階段の所から姿を現した央子。
隣のクラスの友達と一緒だ。


彼女は俺の姿に気付くと一瞬表情を強張らせたが、知らん顔をして俺の横を通って教室に入ろうとした。




「……央子、ちょっと待って!」


「なによ!?」



央子がキッと睨む。


う……まだ怒っているようだ。

俺は、勇気を振り絞って言った。



「昨日は、その……俺が悪かった。気が立ってたから、央子にもあんなこと言ったけど……後悔してるんだ。
だから、その、許してもらえないかな?」



央子は黙ったまま無表情に俺を見ていたが、やがて固く結ばれていた口元がフッと緩む。



「あたしこそ、言い方が悪かったわ。悠聖君と圭祐君のことが心配なの。助けになりたいんだけど、今度こそ事情を説明してくれる?」