「そうかそうか。前に来た時はまだ子供だったのにもう彼氏がいる年になったのかー。私が老ける訳だね。

さ、それじゃ早速この椅子に座ってくれるかな」



軽く流され、新嶋先生が指し示した椅子に座ると先生がにこにこしながら言った。



「さっきはこの看護師が失礼したね。まだ新米なもんで許してやってほしい」



それを聞いた例の看護師が耳まで真っ赤にして呻く。



「……や、やだ先生、聞いてたんですかぁ?」


「あれだけ大声で言ってたら隣まで聞こえるだろう。もし今日、笑いすぎで腹が痛いと訴えてくる患者がいたら長江君の責任だな。医療費の患者負担以外の七割は長江君の給料から引かせてもらおう」


「ええ~!?」


「冗談だ」



真顔で言って、あたしの方に向き直る新嶋先生。



「さて、咲雪ちゃんは今日はどうしたのかな?」


「娘は今日、突然家で倒れたんです。ずいぶんと顔色も悪いようですし……心配で」